肩関節周囲炎は、一般的に「四十肩」や「五十肩」として知られる疾患です。肩関節を構成する骨、軟骨、靭帯や腱などに問題が生じ、肩関節周囲の組織に炎症が起きることが主な原因とされています。中高年、特に50歳前後の人に多く見られますが、年齢に関係なく発症する可能性があります。肩関節の動きをよくする袋(肩峰下滑液包)や関節を包む袋(関節包)が癒着すると、さらに動きが悪くなります。
症状
肩関節周囲炎の主な症状は、肩を動かす時や夜中に感じる肩の痛みと関節の動きの制限です。関節の動きが制限されると髪を整えたり、服を着替えたりすることが難しくなることがあります。また、症状は強い痛みが主症状の急性期(約2週間~数か月)、痛みは軽減するが関節の動きが制限される拘縮期(約4~12か月)、徐々に症状が改善する回復期(約6~9か月)の3段階を経て進行すると言われています。
一般的な治療方法
治療は、症状の程度や肩関節の状態に応じて保存療法と手術療法の2つの選択肢があります。急性期の治療には消炎鎮痛剤の服用やヒアルロン酸注射などの薬物療法や痛みの少ないポジションの指導があります。拘縮期には関節の動きを維持・改善するためのリハビリテーションが行われ、回復期には関節の動きを改善したり、筋力を改善したりするための積極的なリハビリテーションが行われます。
保存療法で症状が改善しない場合、癒着した関節包を切除し、可動域の改善を図る手術が検討されます。手術には入院して関節鏡を用いて行うものと、入院せずに外来で局所麻酔下で行うものがあります。手術後は、リハビリテーションを行い、徐々に関節の動きを取り戻していきます。
予防策
肩関節周囲炎の予防には、肩周りの柔軟性を保つ適度な運動、肩周りの筋肉に負担の少ない姿勢をとることなどが大切です。
当院ではリハビリテーションを中心とした保存療法を行っています。また、局所麻酔下での手術や手術後のリハビリテーションを行うこともできます。肩の痛みや動かしにくさ、不安がある場合は、当院にご相談ください。