後十字靭帯損傷について

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 後十字靭帯損傷は、膝の安定性を保つ重要な靭帯の怪我で、転倒や交通事故、コンタクトスポーツで多く発生します。症状は膝の不安定感や痛みで、治療は保存療法と手術療法があります。予防には適切なスポーツ動作の習得と筋力トレーニングが重要です。

どんな役割がある?

 後十字靭帯(PCL)損傷は、膝関節の安定性を保つ重要な靭帯の怪我です。転倒や交通事故、ラグビーなどのコンタクトスポーツで多く発生します。後十字靭帯は膝関節の内部にあり、大腿骨と脛骨を結びつけ、膝が後方にずれるのを防ぐ役割を果たしています。損傷すると、膝の安定性が失われ、スポーツ活動や日常生活に影響を及ぼします。

 主な症状は、膝の不安定感で、体重をかけた時に「カクッ」と膝が崩れるような感覚が特徴的です。損傷直後には膝の痛みと腫れが出現しますが、歩行が可能な場合もあります。損傷が重度の場合、膝を動かすことが困難になり、歩きにくくなることもあります。また、膝の可動域が制限され、スポーツ活動や日常生活に影響することがあります。

 治療は、損傷の程度や活動レベルに応じて選択され、保存療法と手術療法の2つの選択肢があります。保存療法では、まず膝の痛みや腫れを取るためにアイシングなどを行い、装具による固定を行います。また、リハビリテーションとして、膝周囲の筋力トレーニングやストレッチなどが行われます。筋力トレーニングでは特に太ももの前側の筋肉(大腿四頭筋)の強化が重要です。

 手術療法は、完全に損傷している時や膝の不安定感が残っている場合、スポーツ選手や活動的な生活を送る人に推奨されます。手術では、損傷した靭帯を再建するために、自身の腱を一部使用します。手術後はリハビリテーションが重要で、約6か月かけて徐々にスポーツ活動に復帰します。リハビリテーションでは、可動域の回復、筋力向上、適切なスポーツ動作の獲得を目指します。

 後十字靭帯損傷に明確な予防策はありません。しかし、転倒しないように身体機能を維持することは予防につながると考えられます。また、スポーツ活動でも接触による損傷を予防するのは難しいですが、膝に負担のかからない適切なスポーツ動作を習得することや下半身の筋力トレーニングなどは予防につながると考えられます。また、スポーツ活動前のウォーミングアップやクールダウンでも怪我のリスクを減少させることができます。

 当院にご相談ください

 当院ではレントゲンとMRIにより正確な診断を行うことができ、リハビリテーションを中心とした保存療法を行っています。また、手術後のリハビリテーションを行うこともできます。膝の痛みや違和感、不安がある場合は、当院にご相談ください。

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この記事を書いた人

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岩政 亮平

理学療法士
日本臨床徒手医学協会認定セラピスト
ピラティスインストラクター